アドセンス
2016年6月29日水曜日
日本の機関投資家はつらいよ
今のような荒れ狂った相場をみていると、日本の銀行や保険会社などの機関投資家が運用で高い成果を得ることは難しいと思う。
誤解を恐れず個人的な見解を書いてみたい。
まず、四半期毎の収益目標が課せられていること。その目標達成のため、不本意な場面で益出しを迫られることがあり、狙った利益を得られない場合が多々ある。会社全体の収益目標の進捗が思わしくない場合、経営者の不安を鎮めるため、運用部署として不本意な水準で益出しを迫られることが多い。これはアップサイドの収益限定要因といえる。
また、投資する際にも、担当がこの銘柄が良いと相談しても、上席が気に入らない場合や相場観に合致しない場合等には、どんなに素晴らしいアイデアでも採用されないこと。組織故に仕方ないといえる。
三つ目に減損会計が存在すること。会計上のルールとして減損するとなると、ロスカットの議論が必ず起きるため、長く持てば相場が回復する場合もあるが、経営陣になかなか認めてもらえない。これ以上の損失の拡大は株主に説明できないといった議論が起き、必然的にロスカットへと繋がる。
各部署や運用カテゴリー毎に疑似資本を配賦し、運用上のリスクをその範囲内にとどめるリスク管理手法を採用していること。具体的には、リスク量の上限を100と定めた場合、70に達した場合、損切りなどの対応策を検討することとなる。その場合、運用を一時ストップすることとなり、下値で拾うというようなナンピン買いを認めてもらえる可能性は極めて小さい。投資の鉄則は投げ売り時に買い向かうことなはずだが。
その他、サラリーマンであることから、自らの保身のため、保守的にならざるを得ないこと。人間なので仕方ないと思うが、株価が大きく下げた場合など、買い向かう勇気をもった人は少ない。少し様子をみようとなる。
最終的に銀行も保険会社も顧客に対する負債を運用していることから慎重な運用が求められている。例えば、銀行では預金が原資であり、大きくロスった銀行は預金取り付け騒ぎに波及してしまう。そのため、ジョージソロスのような派手な運用はそもそも困難であるが、安全を求め国債などの投資が中心となってくるから、運用成績もぱっとしないものとなる。
特に、営業取引を維持するために保有する政策株の存在が悩ましい。株価が下げた場合、含み損が自己資本に繁栄されるが、取引維持のため売却することはできない。また、株価が上昇した場合にも、同様の理由で売却できない。政策株は経営の不安定性を増幅する一面がある。
これについては、これまで売却すると取引が無くなってしまうので、経営上やめたくてもやめられなかったが、コーポレートガバナンスの改善という御旗のもと現在売却に励んでおり、状況は変わりつつある。
では、負債サイドの預金や保険契約は積みあがっていくし、法人は死なないのだから、毎月一定額を積み立てるドルコスト投資を実践するのも検討に値するのではないかと思うが、自らの運用部署の存在意義を否定することにつながるため、経営から認められない他、同様に、運用部署からも起案されることはない。
こう考えると機関投資家はしがらみが多いと思う。
個人投資家って自由ですね。投資銘柄も自由に決められるし。四半期決算もないし。減損もないし。
投資は自己責任で。
応援よろしくお願いします。
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿