アドセンス

2016年8月5日金曜日

「捨てられる銀行」を読んで


橋本卓典著「捨てられる銀行」(講談社現代新書)を読んでみました。

著者は共同通信社経済部の記者。現在、金融庁担当で地域金融を中心に取材されている方だそうです。

捨てられる銀行?。タイトルが刺激的であったので購入してみました。


















本書では、金融機関は金融庁の金融検査マニュアルに基づいた検査を受けるがそのマニュアルが画一的なものであったことや、不良債権をあぶりだすことが目的の同庁による資産査定、100%保証による信用保証協会付き融資が地域金融機関の経営を変えてしまったとしている。

具体的には画一的なマニュアルをクリアすることが目的となってしまった結果、形式的な融資先支援になってしまったことや、不良債権の認定を避けるべく保証人や担保ありきの融資となってしまったこと、また信用保証協会付き融資への依存により顧客を知る力がなくなり、低金利での融資金の売り込みに頼らざるを得なくなった結果、資金ニーズを掘り起こすことができないばかりでなく、収益性も低下してしまったというもの。

しかし、地域金融機関によるリスクマネーの供給により地方都市が元気になるという論法はわかるが、地域金融機関が自分の頭で考える力を失ってしまったことが地域の疲弊につながっているといわんばかりの論調には違和感を感じた。

また、引き当ての実施など財務会計処理と貸し出しの与信判断を切り離すべきとしているが、銀行も株式会社であるところが大半であり、株主に対する説明や貸し出しの原資は預金であり預金者への説明も必要となることから、そんな簡単に切り離せる話ではないと思う。

全体的に金融行政における理念や理想にページを多く割いている一方、借り手の実態など現場の視点が欠けている気がするので、地域金融機関の人が読んだら大きな反論があるような気がします。

う~ん、銀行への投資は難しいかも。



投資は自己責任で。
応援よろしくお願いします。

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