アドセンス

2016年11月2日水曜日

日経ヴェリタス「ドイツ銀危機の教訓」を読んで


今週も日経ヴェリタスを読みました。

今週の巻頭特集は「ドイツ銀危機の教訓 落日の金融業、適温相場に影」(第451号)です。

内容は欧州銀は米銀に比べリストラに出遅れ、不良債権、規制、マイナス金利に悩まされ、収益性の回復が遅れているというもの。

見方によっては、米銀のリストラやビジネスモデルの転換が極端なほど早く、ドラスティックであったともいえる。米銀は極端なまでの収益至上主義に走った結果、サブプライムローン問題を引き起こし世界経済を混乱に落としいれたが、公的資金に助けられ生きながらえた。その後、ボルカールールの制定などにより、レバレッジを効かせた経営はできなくなったことから、過去を一切忘れ、人員削減、不採算ビジネスからの撤退などリストラを進め、アセットマネジメント業の強化などビジネスモデルの転換を進めた。

この変わり身の早さこそが米銀の強みだと思う。普通しがらみがあって中々大ナタをふるうことができないが、資本市場の理屈に疑問を挟み込むことなく、リストラに突き進む。とにかく、猛烈な収益の追及から純粋なまでのリストラと右から左、左から右へと大きく振れるのが米経済の特徴。ルールを重視する国であることから、儲け方も極端だが自浄作用も極端。それゆえ、日本のような失われた10年、20年といったものは存在しないのかもしれない。

一方、欧州は米国と異なりしがらみ一杯といったところか。歴史と伝統が邪魔をして、判断が遅れることも多いかもしれない。また、欧州の場合はEUの規制があることから、自国の判断で取り組めないことも多い。例えば、EUには公的資金を注入するには社債投資家も損失を負担するルールがあるが、国内の投資家に配慮する必要があるため、公的資金の注入に至らないケースもある。今のイタリアがそうだ。

しかし、英国の銀行も低収益にあえいでいることから、欧州の経済状況も大きな要因といえる。英国はユーロに加入しておらず、どちらかといえば米国型資本主義の国であるが、バークレイズなど英国の銀行も低迷している。個別の銀行の経営判断の問題もあるが、南欧の経済の落ち込み方が非常に大きいことから、不良債権の償却を収益の範囲内で進めざるを得ない結果、不良債権処理に時間がかかってしまう一面もあるかもしれない。

企業の経営改善を大胆に進める為にもリストラは不可欠であるが事業会社の決断も米国流とはいかない場面も多いと思う。組合や社会への配慮、国内の政治家など利害関係が複雑に絡み合っている。若年層の失業率が高いことも既得権益層が強いというしがらみの表れだと思う。それゆえ欧州銀の復活は時間がかかるのかもしれない。ECBも同じ悩みを抱えており、量的緩和策をやめることは難しいと思う。欧州の低迷は時間が解決する類の問題なのかもしれない。



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